2023年美容室は値上げラッシュ過去最高4割弱。利益増は1割止まり。

2023年12月27日

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向川 利果

　

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向川 利果

向川利果/元パリコレ美容師/美容トータルプロデューサー/トップブランディングプルデューサー/コンサルタント/デジタルマーケッター｜パリコレクション・東京コレクション等ナオミ.キャンベル・シンディ.クロフォード・ケイト.モスなどスーパーモデルを数多く担当。グローバルコングレス世界大会日本代表。国内外の豊富な実績や経験をもとに「売り上げ100万円」を目指している美容師やサロンにマーケティングをコンサルティング。異業種サロン系スーパーバイザーとして相談が後を絶たない。/テレ朝ワイドスクランブル・テレ朝サンデーステーション・読売テレビ・朝日出版社AERA解説

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美容室の値上げは2014年に22％でしたが、2022年に15％、2023年は38％が値上げを実施しました。

2023年美容室は値上げラッシュで過去最高の4割弱。利益増は1割止まり、8割は利益減少（利益不変と利益減少含む）。美容室の値上げの理由は「仕入れ価格上昇」で、7割の美容室が経営悪化の影響があると回答しています。

美容室の仕入れ価格の上昇の転嫁として、材料費が10％以上であれば7〜5％に抑えると良いでしょう。さらにセットメニューを作り、仕入れ価格上昇分を転嫁するのもオススメですよ。

今日は「美容室の閉店ラッシュ」についてテレビ解説した美容室のコンサルタントとして、今回の「美容室の値上げ」や、長年の美容師の現場経験を元に「仕入れ価格の上昇の転嫁方法」についても書いていきたいと思います。

美容室の値上げ2023年の動向について、日本政策金融公庫の価格動向調査を美容業のみを抜粋して、わかりやすくグラフ化し解説していますので価格改定の参考にしてくださいね！

美容室の値上げラッシュ4割弱で過去最高

美容室の値上げで2023年「販売価格の動向」調査では「引き上げた」38.7％、「据え置いた」60.2％、「引き下げた」1.1％となっています。

過去9年をみても、美容室の値上げを実施した38.7％は、過去最高となりました。美容室が値上げをした割合は、前年より23.7ポイントも上回りました。

美容業の販売価格の動向

引用元：日本政策金融公庫

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美容室4割弱が値上げした理由は？

美容室の4割弱が値上げした理由を見てみましょう。

美容室の価格引き上げの理由は「仕入れ価格上昇分の転嫁」と回答した割合が65.0％と最も高く、次いで「人件費以外の経費の増加」32.8％、「人件費の増加」25.4％でした。

美容室では教育費もかかりますから、「人件費＋教育費」と含める必要がありますね。

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美容業　販売価格引き上げの理由

 

引用元：日本政策金融公庫

 

2021年からヘアケア剤やパーマ剤などのクリーム基材から徐々に原材料値上げの影響を受け2023年はカラー剤なども影響がありました。そのほか設備費など影響を受けはじめています。

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美容室の仕入れ価格の動向は？

美容室の値上げの理由で最も多いのが「仕入れ価格上昇の転嫁」です。美容室の仕入れ価格の動向は、上昇した58.0％、変わらない37.6％、低下した4.4％。「上昇した」と回答した美容業の割合は58.0％で、前年よりも15.6ポイント上回りました。

美容業　仕入れ価格の動向

引用元：日本政策金融公庫

 

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美容室が経営悪化への影響は？

美容室の場合、仕入れ価格の上昇は、経営上の影響が大きいです。「仕入れ価格上昇の経営悪化の影響」についても「かなり影響ある」「ある程度影響ある」を合わせると74.7％。美容室経営者の7割は「影響がある」と答えています。

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美容業　仕入れ価格上昇の経営悪化の影響

引用元：日本政策金融公庫

 

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美容室の仕入れ価格上昇で3割強が転嫁困難

さて仕入れ価格の上昇分が販売価格に転嫁できているかどうかですね。

美容業の仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁は「転嫁できている」（すべて転嫁できている」「概ね転嫁できている」「一部転嫁できている」）と回答した美容室の割合が56.3％と5割越えした一方で、「全く転嫁できていない」美容室は36.2％でした。

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美容業　仕入れ価格上昇分の販売価格への転嫁

引用元：日本政策金融公庫

 

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美容室の値上げ「お客様は理解」7割

美容室で仕入れ価格上昇分を販売価格に転嫁を成功するには、お客様の理解を得ることが理想です。今回の回答では「顧客の理解が得られている」は75.8％と7割を越えました。

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美容業　原材料等の仕入れ価格上昇分を販売価格へ転嫁できた理由

 

引用元：日本政策金融公庫

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美容室の仕入れ価格の見通しは？

美容室の今後1年間の仕入れ価格の見通しは、「上昇する」68.5％、「変わらない」28.4％、「低下する」3.1％と、7割近くが今後も仕入れ価格の上昇をあげています。

美容業　今後1年間の仕入れ価格の見通し

引用元：日本政策金融公庫

 

「値上げラッシュはなぜ？」という記事にも書きましたが、2023年は社会情勢の悪化から、原油価格の高騰に始まり、さまざまなエネルギー価格が高騰し、光熱費や食品関連の値上げが相次ぎました。値上げラッシュはなぜ？美容業「据え置き82％」客離れが怖いと足踏み。

そのため材料費の仕入れ価格も影響があり、材料費の値上げもありました。2022年はヘアケア剤やパーマ剤などのクリーム基材から徐々に原材料値上げの影響を受け、2023年はカラー剤なども影響を受けています。

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美容室の店販の利益の出し方具体例はこちら
⇒美容室の店販は利益出るの？実はリピートされ失客も防ぐ！

美容室の店販率についてはこちらを参考にしてみてくださいね。
⇒サロンの店販率の平均は？5％以下は顧客満足度が低い黄色信号。

2023年美容室は値上げで失敗？8割は利益減

では実際に美容室の値上げをしたのは4割弱、「利益が出て成功した」のか、「利益減少で失敗した」のか、見てみましょう。

美容室の値上げで成功し利益が増えたのは、わずか16.4％でした。美容室の価格改定で失敗し利益が減少（利益不変と利益減少を含む）したのは8割を越えました。

美容業　販売価格を引き上げた企業の利益の動向

 

引用元：日本政策金融公庫

 

失客戻しで成功した美容室のお客様の声はこちら
⇒【美容室臨店講習】美容師の失客の原因と戻し方「失客戻せた！」お客様の声

客数と客単価の分析についてはこちら
⇒客数と客単価を分析してみよう！どっちを優先するといいの？

美容室の値上げは2024年も続く？

美容室では値上げを2024年にするのか、今後１年後気になるところですよね。競合他社の今後1年後の2024年に美容業界462社「今後1年間の販売価格の見通し」回答は、「引き上げる」25.2％で前年より4ポイント減少、「据え置く」73.7％で3ポイント増加、「引き下げる」1％、『2割強は値上げする』見通しですね

今後1年間の販売価格の見通し

 

引用元：日本政策金融公庫

美容室の値上げの失敗や値上げのタイミングについてはこちら
⇒美容室の値上げ失敗？値上げのタイミングと失客しないポイント3つ。

美容室の値上げの失敗事例はこちら
⇒美容室の値上げに失敗する3つの事例集。成功ポイント具体例付き。

美容室値上げは過去9年間の動向は？

美容室が値上げをした過去9年間の動向では、2位は2014年22.3％、3位2022年15.3％で、1位は2023年の38％になります。

美容室の値上げで2位の2014年の消費者物価指数では8月の物価が軒並み上がりました。さらに消費税が8％に引き上げられて半年、円安による原材料費高騰も加わり、食品などが続々値上げされました。

そのため、美容業の過去9年間を見ると、美容室の値上げラッシュは2014年の22.3％がもっとも高くなりました。次いで2022年が「仕入れ価格の高騰」15.3％でした。

このように今までの美容室の値上げは、過去9年間の中では2023年の38.7％が最も高くなりました。

美容業　過去9年間　販売価格の動向

 

引用元：日本政策金融公庫

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⇒美容室のメンズ客単価は4067円。単価アップするデザインの提案とは？

男女別のサロンの単価の30代女性と男性。攻略法はこちら
⇒男女別のサロンの単価は30代女性7,198円と30代男性4458円がトップ。

美容室以外の値上げの動向は？

さて、ここで美容業だけでなく生活衛生業全般の値上げについてみてみましょう。2023年は55.2％「引き上げた」と前年より19ポイントも上回り、62.8％が「据え置き」しました。

ここで2014年〜2023年までの過去10年間の値上げ動向を見てみましょう。過去10年の中で、値上げが一番多かったのは2022年に生活衛生業の35.5％が値上げをしていました。

その中でも今回2023年は、5割強の半数以上が値上げをし、過去を上回りました。

販売価格の動向

引用元：日本政策金融公庫

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⇒「ロイヤルカスタマー増、高単価な美容室になった！」お客様の声

美容室の値上げの告知についてこちら
⇒料金改定のお知らせ 美容室 書き方と値上げで失敗しない例文。

美容室の材料費10％を5％にするコツ

美容室の過去の9年間をみても、なかなか値上げに踏み切れない、様子をみている経営者も多いかと思います。仕入れ価格の上昇分を転嫁するには価格改定の対策だけではありません。

美容室の人気メニューランキング
⇒美容室の人気メニュー1位カラー54％で最下位はパーマ11％まで減少

人気メニューの作り方
⇒メニューは美容室で重要？やりたくなる人気メニューの作り方。

例えば材料費を抑えるコツは、材料をまとめ買いで割り引いてもらう、薬剤を計量し無駄を省く、余ったパーマ剤やカラー剤を計量し使用する薬剤だけ準備する、などの工夫もやってみましょう。

また、ディーラーに勧められるままに新製品を納品せず、まずは試供品を試すなどをし、サロンに合っているかどうか、ターゲットの購買意欲に繋がるかよく検討しましょう。

お付き合いもあるかもしれませんが、この際は別のディーラーさんの検討もしてみましょう。

厳しく管理すれば10％以上の材料費も、5％まで抑えることができますよ。ゆる〜く管理していると、どんどん材料費は消費する一方になりますからぜひ対策をしていきましょう。

美容室の材料と店販はこちら
⇒店販の種類が多いと商品は売れなくなる？店販比率との関係。

美容室のメニュー料金値上げ
⇒メニュー金額を上げるとお客様こなくなる？値上げに失敗する理由。

まとめ・・・2023年美容室は値上げラッシュ過去最高4割弱。利益増は1割止まり。

いかがでしたか？美容室の値上げは誰しも経験します。値上げを実行するかどうするか、何年も悩む経営者は多いですね。

美容室の値上げ2023年「販売価格の動向」

• 「引き上げた」38.7％
• 「据え置いた」60.2％
• 「引き下げた」1.1％

2023年美容室の値上げ実施

• 2023年値上げ38.7％は過去最高
• 2022年より23.7ポイントも上回った